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松下紗千選手 引退、そして卒業によせて 最終章 私はあなたの進む道を応援します [フィギュアスケート]

この記事で最後にしたい。(ご本人様見てないよね?見られて困ることは書いていませんが。。。)
紗千さんを応援して過ぎた6シーズン
パンデミックさえなければと思うことも多い。滑る選手にとっても失われた3年間。

東日本の配信でうれしかったことがある。
キスクラで紗千さんの得点が出て「現在の順位は第1位です」。2、3人くらいだったけど、Current Rankだったけど、リザルトボードの一番上に表示されるのを見ることができた。
転倒もなく、後輩のために出場枠を残した。最後のコンビネーションのサードループの時の表情は素敵でした。紗千さん、立派なものです。

彼女のジャンプについて考察しておきたい。
種類という点では不利。しかしながら、サルコーの軌道の正確さと上半身のブレの少なさ、ダブルアクセルの回転の鋭さというか、プレローテーションがなく、回転がしっかりかかっているところなどは、下手な全日本クラス以上のものを持っている。
しかも、手の動きに無駄がなく美しい。IJSで評価されにくい部分で秀逸なフィギュアスケーターと言える。高難度ジャンプはなくても、美しい世界観を持っている。

東日本の後は、国体予選を無事に4位で通過して、1月末の八戸国体へ進むこととなった。
八戸なら玄関から1時間半でいける。
有観客開催となることに備えて半年前に土日で現地の宿泊を押さえていたが、成年女子の日程は月曜日と火曜日。しかも、兵庫県は現役世界女王が参戦するとかえげつない。
さすがに2日間は無理なので1日しか参戦できない。
迷った末にショートプログラムに参戦することにした。
いつも通り朝のエールを送り、八戸へ向かう。
会場に入るとリンクの氷面に少しの違和感を感じていたが、試合は始まる。
紗千さんは9番滑走。滑りの美しさはいつもどおり。3Sの回転が足りない。2Aも少しつまづいた感じ。
スコアは、フリー進出が危ぶまれる数字。最後の試合でこれは・・・
そのときの私はといえば、試合が進むにつれてだれか2人グダグダにならないかなと思ってしまった。
誰かのミスを願うなんて最低の奴になっていた。
かつて、何があっても最後まで見届ける、どんな結果もしっかり受け入れる、とスケートの神様に誓ったはずの私が最低の奴になってしまっていた。
結果は1点もない差でショートプログラムを通過できなかった。
そこで泣きたかった。
お疲れ様とメッセージを送った。3年以上待ち望んだ現地でショートプログラムを見ることができたことは幸せだった。
少しだけ会いたいと送りたかった。でも、最後の試合でショート通過できなかった気持ちを考えるとそんなことは言えなかった。しかも私は最低・・・
帰宅してから泣いた・・・フリーを滑らせてあげたかった・・・泣いても仕方ないのに泣いた・・・
そして私の心にはポッカリと大きな穴が空いたようだった。

最後の試合は、その翌週に新横浜で開催される関東インカレとなると知らせてくれた。
最後のエールを送って、ショートだけの大会だが、彼女は3位表彰台にあがった。写真だけだけど、最後の試合で表彰台はうれしかった

そして、その日は明治法政オンアイスのエントリー。
年初に出演することは聞いていたが、スケジュール的に無理と思っていた。
でも、時間になったら、何かに導かれるようにエントリーして整理番号も届いていた。
最後の滑りを見届けにいこう。殺人スケジュールもなんとかする。お会いすることは無理としても現地へ行こう。
プレボがあるので小さな贈り物、やはりお手紙も。
手で手紙を書くなんて何年ぶりだろうか。糸へんを必死に練習してから書いたけど、下手な字と拙い文章。夜中に書いた手紙は恥ずかしい。気持ちの欠片だけでも通じたならそれでいい。
贈り物のぺーパーバッグは、あの日咲いたラベンダーにちなみラベンダー柄。
気づいてくれたかは未知数。

そして私は、なんとか万難排してラベンダーの咲いた庭に降り立った。
明治法政オンアイス(通称 わちゃわちゃオンアイス。私にとってへMHOIではなくMSOIだった。)では今期のフリースケーティング”Without You”を魅せてくれた。
配信でみた印象より遙かなスケール感と美しさ、せつなさを感じた。やはり背中が大きく見える(太ったとかじゃない)。
コリオシークエンスの長いイナバウアーでかざした手の向こう側には何があったのか、「せつなさ」という日本語では表せない切ない雫でリンクの全てを埋め尽くしていく。そのせつなさの向こうには何が見えているのか。
私の気持ちは
I don`t want to see the ice without you.
前の記事で書いたとおり、スタンドの上から少しだけ言葉を交わせた。

これでもうお会いすることはないかもしれない。現地へ行けない3年の月日の中で紗千さんは私の中で(勝手にだけど)大きくなっていた。これが世に言う推しロスという状態か。こんなことなかった今まで。ご本人には申し訳無いが、私には「やりきった」感がなかった。失われた3年間は重かった。
最後まで試合に出て、幸せな引退エキシを披露して、無事に卒業、引退の夢が叶ったのに辛すぎる。

でも後ろ髪を引いちゃいけないと自分を追い詰め始めた。
氷上にいる彼女をもっと、ずっと見ていたかった・・・その気持ちだけは本当だった。

卒業式の日、都内は冷たい雨。
冷たい雨は、きっとつらい思い出、悲しい思い出を流し去って、大切な思い出だけを残す雨と信じたかった。こんな時代を生きたからこそ見える景色はきっとあると信じたい。
私は、世界選手権の会場近くのファミレスで観戦仲間と早めのランチタイムをしながら、配信されている卒業式を見守った。

その日の夕方、世界選手権の会場からアイスダンスと男子シングルの間の休憩時間ににお祝いのメッセージを送った。気分はどうあれ、世界選手権のテンションだけは高い場所で余計なこと書いたかも知れないけど、伝えないで後悔しないように、そして節度は保ったつもりだけど・・・うるさい人でごめんね・・・
返信は男子シングル最終グループの6練のときに見た。
その文字にはやさしさがあふれていた・・・
夢の6シーズンが終わった。。。

プロスケーターへの憧れはあったと聞く。
実際、その素養はあったと思う。
ショースケーターになってくれたら・・・とずっと思っていたが叶わなかった。

ただ彼女が進路を決める時期は、パンデミックも終息の気配を見せず、エンタメは壊滅状態だったはず。
プロスケーターの受け皿は非常に小さい。心の内はわからないが現実的な選択をしてくれた思う。
元気で幸せならそれでいい。でも受け皿があったら・・・私が18年前からこの国に託す夢「プロスケーターがスケートで生きて行ける国」はまだまだ遠い夢。

紗千さんにあなたの後輩から新しい才能を見つけるって強がってみたけど、才能はある日突然雷に打たれたように出現するもの。気がついたら引きずり込まれているもの。簡単なことではない。
紗千さんのような10年にひとりの逸材となるとどうなるやら。
仮に新しい才能を見つけても、代わりじゃなくそれぞれが並び立つ存在、そしてそれぞれが大切な思い出。
松下紗千さんという10年にひとりの才能を見つけて、応援して過ぎた6シーズンは幕を閉じた。
たくさんの幸せをありがとう・・・

紗千さんへ(読んでいないと思うけど・・・)

あらためてご卒業、ご就職おめでとうございます。
最後まで試合に出場し続けて、無事に卒業してくれるという、私が密かに託した夢を叶えてくれました。本当にありがとうございました。
でも、もっと、ずっとずっとあなたの滑る姿を見ていたかった・・・けど

私は、あなたの進む道を応援しています。

こんな私に優しく丁寧な応対してくれてありがとうございました。
うるさいと思ったこともあったと思います。
引退したらどこへ行こうが関係無いのに寂しいなんて言ってしまって、心からお詫びします。

あなたに氷上からいただいた幸せは本当に大切な思い出です。
氷上のあなたは美しく、力強く、あふれる思いとせつなさで私の琴線を揺らしてくれました。
いつもたくさんの幸せをいただきました。

これから進む道、どんな道か知らないけれど、恐らく平坦なことばかりではないと思います。
たとえ、道に迷っても心のままに歩いていってほしい。
もしも夢の途中で迷ったときにも、自分で出した答えはどんな答えも間違いじゃないと自分を信じて進んでください。
そして、のちに見据える夢があるなら、最後まで諦めずに進んでほしい。
私は、「松下紗千」さんというフィギュアスケーターに出会えて幸せです。

幸せをありがとう。どこへ行っても元気で幸せならそれでいい。
いつか、どこかでまたお会いすることを楽しみにしています。
その日を信じて、私もしっかり生きて行きます。
本当にありがとう。
元気でね。
またね・・・

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