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松下紗千選手 引退、そして卒業によせて その2 得点よりも尊いもの [フィギュアスケート]

2017年東京ブロック大会
最終日シニア女子フリースケーティング
紗千さんは15番滑走(だったはず。以降滑走順と順位は記憶による。)

その日は終わったら仙台まで帰宅しなければならない。
最終滑走はいつもヒヤヒヤ。
第3グループなら落ち着いて見ることができる。

ところが6練から落ち着いて見せてはくれなかった。
ジャンプははっきり言って危なっかしかった。
しかし、エッジワークは美しかった。右手は前日より迫力を増した。

この日のフリーはディズニー映画「ポカホンタス」
比較的重く見える色の衣装ではあるが、上半身のダイナミックな動きでそれを感じさせない滑り、右手だけじゃない指先まで行き届いたというのは簡単だが、腕から先に関節がいくつあるのか不思議なくらいの繊細な所作にすっかり見惚れてしまった。
高難度ジャンプだけじゃない。得点はどうでもいい、それだけじゃない世界がフィギュアスケートにはあってもいいじゃないか。
彼女が広大なリンクに作り出す世界に、フリーが終わる頃には琴線はガンガン揺らされて崩壊寸前、ディレイドスタオベしたかったが動けなくなっていた。
今のままなら当時の東日本からの出場枠を考えれば難しいが、全日本でコールされる姿を見たいと思った。
でも、それよりも、この美しい右手をもっとずっと見ていたい。
ある日突然、エントリーから消えてしまう選手は多い世界。
大学へ進学して、卒業まで消えないで滑り続けて欲しいと願わずにはいられなかった。
私はまだ、卒業、そして引退のそのときが来たらその重さに押しつぶされそうになるとは思いもしなかった。
結局、彼女は綜合9位で東京ブロックを通過して東日本へと進むこととなった。

シニア女子が終わって帰ろうとしたら、スタンドの外周で紗千さんがノービスくらいの子かな?ポカホンタス衣装のまま、お話しているのが見えた。
え?この子リンクであんなに大きく見えたのに、こんな小柄で華奢なの?リンクで大きく見えるのはすごい才能。その時、私のすぐ前を歩いていた彼女に声をかけたかったが、なんとなくうまく話せないような気がして、リンクで見たよりずっと小さな背中に「素敵な滑りをありがとう。これから応援します。消えないでね」と心の中で語りかけた。
(つづく)
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