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松下紗千選手 引退、そして卒業によせて その6 遠い夢 [フィギュアスケート]

2022-2023シーズンが幕を開けた。

紗千さんは、ショートプログラムをAmy WinehouseのBack to Black、フリースケーティングをUrsine Vulpine & AnnacaのWithout Youに。
パンデミックは終息しない。当面見ることは叶わなかった。
ブロック大会の日程が発表され、宿泊を手配して、日程を空けて有観客開催となることを祈る日々。
夏が来て、飯塚杯に出場した彼女は「ここに来るのも最後なので・・・」とSNSに綴った。
引退、卒業が大きな現実としてやってきた。
最後の東京ブロック、東日本へ進出し、叶うことなら全日本。。。
夢は膨らんだ。
どうしても現地で見たい。開催が近くなって、またもや無観客開催が告知された。。。3年は重すぎる時間だった。
もう現地で見ることは叶わないのか・・・泣いた・・・泣いても失われた時間は帰ってこないことはわかっていたけど泣いた・・・

紗千さんにメッセージで配信で応援していますと送った。
彼女からの返信は体調を崩していたとのことだった。なんとかブロックには間に合うとのことで少しの安心。でもリザルトでWDが付いていたら。。。当日、恐る恐るリザルトページをあけるとWDはない。
いつものエールを送った。

ショートプログラムの”Back to Black”。今までにない曲調でも滑りの美しさは変わらない。
それにかっこいいというか、それだけではくくれない。時折見せるメヂカラが強烈。この振り付けはまさかローリー?佐藤紀子先生の振り付けだった。
後に聞くと、今期はイメージチェンジを狙ったとのことだが、それが曲のUnderLinerに流れる妖艶な空気とするなら、私が最初に見つけた17歳のときに既にあどけない笑顔の奥に妖艶さは備わっていたと思う。魅せられた者を引きずりこんで離さない、それどころか心をつかまれて引きずり回されそうな妖艶さは既に持ち合わせていた。
一方、ボーカルのLyricsを聞くと、別れたというか亡くなった恋人へのRegretか。日本語では解釈が難しいLyricsだった。
Regret・・・・青春に悔いはないと語る者は今も多い。しかし、アスリートであろうとなかろうと、青春なんて悔いだらけ。タラレバを持たずに大人になる者はいない。
私のRegetは・・・言うまい。

フリーの”Without You”は曲調こそBack to Blackより明るく穏やかに感じるが、Lyricsを聞くと日本語では言い表せない切なさ。英語に切なさという単語はないのだが「あなたなしでは世界を回せない、あなたのいない世界で太陽を燃やしたくない・・・」と日本語では表現できないLyricsがショートよりも深い闇に満ちているようなものを感じた。
切なさなら、彼女の滑りは最初から切なさに満ちていた。1800㎡のリンク一杯の切なさを感じることはこれまでもいつものことだった。紗千さん自身はどんな思いが詰まっていたのか。
このプログラムの振付は星野有衣子さん。
英語は堪能な人だったはず。
星野先生はこの曲をどう解釈しているのか、聞いてみたいものだ。

私は彼女が7本目のジャンプを跳ぶときの表情が好きだった。
一番苦しいときに跳ぶジャンプ。このときに魅せる笑顔が好きだった。
昨シーズンまでと何かが違う。背中が大きく見える。もちろん太ったとかじゃない。リンクを降りれば小さな背中だった。元々リンクに立つと大きく見えるが、背中の大きさが今期は際立っている。
それが後輩に見せる背中なのか何なのか、私にはわからないままだった。
フリーを終えてキスクラに座る彼女は泣いていた。「もう悔いはありません・・・」なんて、得点出る前に引退会見するんじゃない。
私の脳内IJSでは通過できるはず。
得点が出て、東日本へ駒を進めることが決まった。
「2週間でよくがんばりました」佐野先生相変わらずです。ありがとうございました。
1977年東京での世界選手権、佐野さんからはトリプルルッツというジャンプの名前を(テレビでだけど)教えられた。プロ転向した何年か後にはキャサリンさんとペアスケーティングをテレビの特番で披露した。私もキャサリンさんとあんな風に滑れたらと子供心に思ったことがある。

紗千さんは6歳からフィギュアスケートを始めて、拠点もコーチも変えずにやり通した。彼女の力量のひとつでもあろう。
支えてくれたご家族、スタッフ、一緒に戦ったお仲間、応援してくれた人、その全てが彼女の力量である。私の応援は爪楊枝1本ほどでしかない。

東日本から全日本への出場枠は今期も少ない。女子シングルの優勝者も2005年を最後に西日本でたらい回しになっていた。
出場枠とBVから客観的に考えれば、全日本への道は厳しすぎる現実だった。

実際、東日本選手権に出場するだけで、女子シングルの人口を考えれば指の先ほどしかいない天才、全日本に出場するの爪の先ほど。テレビでトップスケーターしか知らない人には地上波で流れる選手は針の先ほど。

ブロックの2日後、紗千さんのSNSで「(地名)次は半年後」と投稿があった。
今の時期なら内定式のはず。
紗千さん、遠くに就職しちゃうんだ・・・
私は寂しさに見舞われた。もちろん、引退して一般人になってしまえばもう私は応援さえできない。
どこへ行こうが私は関係のない人でしかない。東京でもどこでも変わりはない。
でも私はそんな寂しさを抱えてしまって、東日本が近づいてきた。

東日本の前のメッセージでは調子も上がっているとのこと。
朝はいつものエールを送り、配信を見た。
(つづく)

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